独り言なのか本気なのか全くわからなかった。
ただ、母さんの眼はぼんやりしていて、生きている感じが全く見て取れなかった。
母さんは相当追いつめられていたのは一目瞭然だった。
母さんが正気なのかはわからないけれど、母さんが今望んでいることがソレなら別にわたしは構わなかった。
母さんが幸せになれるなら、父さんの元へ行くのも悪くない。元々、わたしは父さんの所へ行こうとしてたし。
「それで母さんが幸せになるなら。いいよ」
母さんから果物ナイフを奪って、わたしは自分の左胸に突き立てた。
後は思い切って刺せば心臓一突きでわたしは父さんに会える。母さんも後から来る。
恐怖は無かった。ただ、緊張した。本当に死ねるだろうか。本当に父さんに会えるだろうか。不安があった