しびしびと雨が降る。
切原くんは黙ってわたしの話を聞いている。
わたしの話なんか信じられないとでも言うように。
大きな目をさらに大きく見開いていたけれど、やがてわたしを見る眼が変わった。
驚愕と好奇の眼から、慈しみと暖かさの眼。
彼のような子どもじみた子でも、こんな眼ができるとは思わなかった。いつも、わたしに向ける眼は憎悪と嫌悪だったから。
「あのさ」
「何?」
切原くんが言いにくそうに、わたしに聞いてくる。
…大体、聞きたいことは予想がつく。わたしは肝心なことを言ってないからね。
「その後…なんで許せたわけ?」
実にど真ん中な質問をありがとう、切原くん。
直球で来られるとわたしも答え甲斐があるってものよ。
「気づいたの」
人がいかに脆弱で、我の強い生物であることに。