いつものように、リハビリを終え、先生に勉強を見てもらおうと談話室に向かう最中。
看護士さんたちに呼び止められた。
その人たちはひどく興奮していて、わたしに何かを話そうとするのだけれども、先述したような状態で上手く考えがまとまらないらしく、
わたしが「何かご用ですか?」と聞くまで、看護士さんたちは騒いでいた。
やっと落ち着きを取り戻し、彼女はわたしにこう言った。
「ちゃんのママと先生、結婚するんですってね!」
頭を思いっきり殴られた感じがした。
こんなにもショックなのは父さんが死んだ時以来かもしれない。
わたしはいちいち聞き返すほど、バカじゃないしマゾでもない。
今、放たれた一撃はわたしを叩きのめすのに十分すぎるほど効力を有していた。
「いいわねぇ。あんな素敵な人がパパになるんでしょ?うらやましいわぁ」
けれど、叩きのめされてはいるけど、徐々にそこはかとない怒りが沸き起こった。
母さんと先生はわたしの眼を盗んで、逢瀬を重ねていたという事実に腹が立った。
そして、二人の関係に気づけなかったこと、上手い具合にわたしが二人に転がされていたんだ、と思うとさらに拍車をかけて腹が立った。