先生、わたしは母さんの娘だから優しくしてたの?
ワガママも聞いてたの?
母さんと再婚するから、娘の気を引いておこうとでも思ったわけ?
母さん。母さんは父さんがいるのに、どうして離婚したの?
父さんを好きだったんじゃないの?
父さんが死んじゃったからって、どうしてわたしに黙って勝手に籍抜いて先生と結婚するの?
ううん、もう当の昔に抜いてたのかもしれない。
何?
わたし、母さんのために今まで生きて来たのに、母さんのためだけに父さんのもとへ行かなかったのに。
母さん、わたしが居なくてもやっていけるんじゃない。
先生に対する気持ちにせよ
母さんに対する気持ちにせよ
わたし一人だけが空回りしてバカみたい。
再婚して子ども生んだら、どうせその子どもを可愛がるんでしょう?
わたしなんか、何の価値もないじゃない!
ねえ、父さん。
父さんが生きてたらどうなってた?
母さんは離婚してた?
父さんとわたしを捨てなかった?
そしたら、先生もわたしたちの前に現れなかった?
ねぇ、父さん。
わたしたち、いつからこんなにひん曲がっちゃったんだろう。
父さんが死ななければ、こんなことにならなかったろうに。
ねぇ、父さん。
わたしも父さんと一緒のとこ、行きたいな。
先生と初めて出会った日と同じ、木枯らしがぴゅうぴゅう吹き荒れる日。
わたしは絶望を知った。