しびしびと、いまだ雨が降る。
蒸せくり返るような湿気に服が張り付いて気持ち悪い。
こんな雨の日だったかな。姉ちゃんが男を連れて来たのは。
その男は俺なんかよりずっと不細工で。
情けなさくてヘラヘラしてて。
男らしさの欠片もないヤツだった。
ゲームも弱かった。
何をやっても俺には叶わなくて、それでもヘラヘラ笑ってた。
「赤也くんには敵わないなぁ」なんて調子いいこと言って。
嘘つき。
敵わないなんて思ってないくせに。
腹ん中じゃガキだって思ってるくせに。
見下してるくせに。
中学生相手にご機嫌取りしやがって。
何なんだよ、あの男!
馬鹿にしやがって…自分なんか何もできやしねぇくせに。
『今日はごめんなさい。赤也が…』
『いいさ。相手は子どもだ。気にしてたらキリないよ』
ムカつく。