「…ごめん」
急に胸が締め付けられて、後悔という渦が胸の奥で大きく渦巻いている。
をさっき傷つけた。「かわいくねぇ」なんて言って傷つけた。にひどいこと言った。
そうじゃねぇか。一瞬、は俺の言葉に反応したじゃねぇか。
止まったじゃねぇか。それなのに、どんどんつっけんどんな返事してさ。
よく考えたらは何一つひどいことをしてない。そりゃ、「興味がない」発言はムカって来たけど、俺の今までの態度だったらそう言うのも頷ける。
でも、興味がないって言いながらもしっかり話を聞いてくれた。
そして今、俺の問いかけにもちゃんと答えてくれた。
本当はいい奴なのに。
俺は決めつけてたんだ。
眉をしかめて「何謝ってんの?」とでも言いたそうなが口を開いた瞬間、俺はまた口から謝罪の言葉を吐き出した。
「かわいくねぇつってごめん。口悪くてごめん。態度悪くてごめん!」
ごめん。
ごめん。
ごめん。
何回ごめんと言えばいいんだろう。
俺はにひどいこと言ってばっかで、本当に情けない。男が何、しかも女に向かって怒ってんだ。男は女を守ってやんなきゃならないのに。
一方的に責めるようなこと、最低だ。
は今度は首を傾げて、考え込む。それから「ああ」と思い出したように呟いたかと思うと「気にしてくれてたんだ」とふふっと笑った。
つっても今、思い出したんだけど。
「いいよ。そんな気にしてないから」
はまた、俺に笑った。今度は姉ちゃんのように、ではなくて年相応の可愛い笑顔だった。
瞬間、心臓がドキリと一際大きく鳴り、身体中の血が一気に掛け巡る感覚がする。
不覚にも少しときめいてしまったようだ。
落ち着け、切原赤也!
さっきまで何とも思ってなかったヤツにいきなりときめくかよフツー!なんで素直に可愛いと思えたのか不思議でたまらない。
さっきまではあんなに嫌だったんだぜ?いきなりときめくとか常識的に考えらんねぇだろ?
とりあえず、落ち着け俺。今はに相談してみることが先決だ。
「な、なぁ」
そう。
姉ちゃんとのことに決着をつけることが先決だ。