その後。
姉ちゃんは逃げるように家を出た。
籍を入れたからゴボウと一緒に住むらしい。
俺はと言うと、特別お咎めなく普段通りの生活に戻った。
ただ、そこに姉ちゃんがいないだけで、おふくろも普通だし、親父も普通にしてる。
あれ以来、俺は姉ちゃんに会っていない。
姉ちゃんには会いたいけど、会いたくない。
会ったところでどうすることもできない。それに、謝るつもりもない。
姉ちゃんたちが勝手に結婚したんだから、俺も勝手にさせてもらっただけだ。
姉ちゃんには俺に対する罪ちゃんと償ってもらうつもりだ。
小癪な手を使って勝負に決着をつけるなど数々の俺を裏切るような行為、絶対に許したくない。
弟である俺の目を盗むように隠れてコソコソしやがって。
今回の一件は当然の報いだ。むしろ、暴走状態の俺に半殺しにされなくて良かった方だと思ってほしい。
ゴボウと結婚することによって、ずっと俺を裏切った罪は引きずられていくんだ。
ざまぁみろ。二人でせいぜい苦しめ。
それでも。
そうは思ってはいても。
俺の心はちくちくと痛む。
姉ちゃんの居なくなった家は空っぽで、何事もなかったように姉ちゃんの存在だけがなくなってしまっていて。
望んだ事なのに、心の中に隙間が出来たみたいで。その隙間から風がピュウピュウ吹き向けていくようで。
とても寒い。
俺の心は一向に晴れない。雨が降ったままだ。