冷え切っていた心が暖かくなって行く。
こんなに穏やかな気分になれたのは本当に久しぶりかもしれない。
少なくとも姉ちゃんがゴボウを家に連れて来る前までは、毎日こんな気分だったと思う。
晴れ晴れしいとは、こんな感じなのかもしれない。
なんだか全てのことがどうでもよくなって来た。
姉ちゃんのことも、何をそんなにカリカリする必要があったんだろう。
ゴボウと結婚してぇなんて前から言ってたことだし。
それを俺のワガママで先延ばしにしてもらってた…て、あれ?
なんで、俺はこんなことを考えるようになってんだ?
今の今まで、あいつら二人を許すもんかって思ってたのに。
俺を無視してさっさと結婚話を進めてたのが、すげぇ腹立って、そんで…
なんだろう。
さっきほど、何か思うことがない。
さっきまではただ単に腹が立ってて、むしゃくしゃしてて。何で俺、むしゃくしゃしてたんだ?
何に俺は腹が立ってんだ?
何がきっかけで、このどす黒い気持ちが解消されたんだ?