「わたしはさ。自分のエゴを母さんや先生に押しつけて、結局何が正しいかなんて考えてなかった」






窓に顔を向けたままゆっくりとは瞼を閉じた。

まばたきではなく、ただ閉じた。

何かを、誰かを思っているような、そんな切ない横顔だった。

また、ゆっくりとは目を開いた。窓から顔を逸らし、その瞳はまっすぐに俺の方を向いた。








「自分のことしか考えてなくて、自分だけが不幸な気がして。周りを見る余裕がなくて。気がついたら」







心の底から許せなくなってた。







の口調は穏やかだけれど重苦しく。

胸がツキツキ痛み出す。胃のあたりがつっかえるような感覚。

と、気持ち悪いくらいの焦燥感と罪悪感。

これが説得力があるってことなんだろうか。

きっと、そう思うのはと俺の境遇にどこか共通点があるから。

大人の勝手な都合に振り回された、ということ。

でも








「切原くんも本当はわかってるんでしょう?」








振り回される根底には、子どもである俺たちのワガママがあった、ということ。

大人のエゴに振り回される子ども。

子どものワガママに振り回される大人。









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