しばらく、放心していたけれど。
その日、姉ちゃんが家に帰って来た時に正気に戻った。
いや、もう正気ではなかったと思う。
それまで何も考えられなかった分、一気に怒りやら憎しみやらで腹ん中がいっぱいになって、頭が正常に働かなくなっていたんだから。
部屋に閉じこもっていた俺は、姉ちゃんが帰ってくるなり、部屋を勢い良く出た。
乱雑に開けたドアが激しい音を立てて、勢いで静かに閉まった。
姉ちゃんはと言うと、暢気に居間で茶なんか飲んでやがる。
幸せそうな顔してさ。
その幸せが人の不幸を土台にしてるってわかってんのか。
腹が立って仕方がない。
俺だけこんなに不幸だなんて許せない。
俺のプライドを粉々にしてまで結婚したかったのかよ。
片っぽしか血が繋がってないけど、弟よりあんなゴボウを取るのかよ、あんたは!
許してたまるか!!
自分だけ幸せに、なんて死んでもさせねぇ!!!